
ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深堀りする新企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。
PEOPLE 27|たっちゃん
『操りたいのは”大恐竜”です。』

林業1年目。
だが、この男の原動力は、最初からハッキリしている。
”重機に乗りたい!!”ってそれ!!
最初は、カステラ職人だった。夜間高校に通いながら昼は工場に立ち、気づけば10年。ザラメの溶け具合、水分量、季節の温度。繊細な調整を積み重ねる日々だった。その後は電気工事の現場へ。電柱を立て、基地局をつくる。“立てる仕事”をやってきた。
だが、コロナで流れが変わる。そしてたっちゃんは、山に入った。理由はシンプルだ。林業には、“ヤバい乗り物”があるからだ。
フェラーバンチャザウルス。
名前からして、もう恐竜である。巨木を掴み、刃が出て、なぎ倒す。しかも、乗れる人は数人しかいない。「これに乗りたい」ってわけで林業に挑んだ。
だが現実は甘くない。いまはチェーンソーで木を倒す日々。1日20本。狙った方向に倒すには、重心、風、角度、すべてを読む必要がある。これは勘ではない。物理である。経験である。それでもたっちゃんは言う。「倒す方が、気持ちいい」。電柱を“立てる”仕事をしていた男が、いま“倒す”ことに快感を見出している。
ただの重機オタクではない。乗り物すべてに惹かれている。バイクは1000cc。船舶の免許も取った。トラックも運転する。共通しているのはひとつ。でっかいものを制御したい!!
ブレーキのない船をどう止めるか。倒れる木をどう導くか。巨大な機械をどう操るか。わけのわからないものを、自分の手でコントロールしたい。これこそがこの男の“欲望”である。一貫している。
たっちゃんには、3人の子どもがいる。バイクを手放し、結婚指輪に変えた男でもある。夜は酒を飲み、子どもに絡んで奥さんに怒られる。朝は山に入り、命がけで木を倒す。ロマンだけでもない。ちゃんと、生活がある。
山の中では、大恐竜を制御しているのに…
家庭では、小さな恐竜たちに手を焼いている。
そして、いちばん怖いのは、奥様だったりする…。
文/中村修治
有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。
ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。










