やよい三月
今宵眠れぬ
まよいづき
席替えも、卒業も、もうなにもない。 席替えですらワクワク。 クラス替えの発表には、 ドキドキして眠れなかった。 卒業式なんて一世一代の出来事。 そういう素敵なリセットがない三月を 迎えるようになってしまった。 桜の開花予報だけを頼りに、 また新年度になるのだなあと思う。 子供たちの卒業式がやけに美しいのは、 その先に未来が見えているからである。 桜がこんなに潔く散るのは、 来年も咲くのがわかっているからである。 ワタシは、次の春も、 桜を見ることができるのか? やよい三月まよいづき。 迷うことなどなくなる春を 迎えることを想像して、 今宵も眠れなくなる。 毎年のことだと、 笑っていられなくなっている。
文/中村修治
企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。