週イチ「たまりば」No.28 煩悩に屈した痕が時代劇になるのだよ。
2021.09.01
週イチたまりば

 

 

煩悩に屈した痕が時代劇になるのだよ。

ここだけの話であるが、台風がやってくるとワクワクする。怖い怖いと思いながらも、不謹慎と知りながらも、東日本大震災の津波の映像を何度もYouTubeで再生している。ワタシは、不謹慎でゲスな人間である。見事に、煩悩に屈し続けている。

 

批評家・小林秀雄は、「獣物達にとって、他に勝とうとする邪念ほど強いものはない。それなら、勝つ見込みがない者が、勝つ見込みのある者に、どうして屈従し味方しない筈があるか。」と遺している。

 

「屈する」というのもひとつの煩悩である。勝とう勝とうといつも考えている人間の最終的な欲望は「自然に屈する」ことなのかもしれない。ハリウッド映画の題材に、そういうものが多いのも頷ける。

 

「大衆は、侮蔑されたがっている。支配されたがっている。」マスコミは、その欲望に従っているだけであるというのも、ひとつの見方である。「大衆は、理論を好まぬ。自由が怖い。」安倍内閣の時、支持率が高いままだったのも当たり前のことなのである。

語り継がれる歴史は、勝者の歴史である。
煩悩に屈した痕が、時代劇になるのだよ。

昭和も終わりそうな頃。20代前半は、東京に住んでいた。バブルの真っ只中。パンツ履く暇がなかったと豪語することにしている。あれから30年・・・煩悩に屈し続けて体重が30kgも増えた。

欲を捨てろ!というのも、ひとつの欲望じゃねえか!?
お釈迦様とて煩悩まみれなのだよ。
屈してナンボである。
屈し続けて、時期が来れば“さよなら”で消えていく。
このような人間を偉い人だと言いたい欲望が時代劇になるのだよ。

 

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

http://nakamurasyuji.com/

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