週イチ「たまりば」No.29 LOVEさえなければ、PEACEなんだよ。
2021.09.08
週イチたまりば

 

 

LOVEさえなければ、PEACEなんだよ。

「女は、生理のたびに兵士になる。戦場で男たちが流さなくてもいいように毎月毎月。10歳そこそこから50のよわいを過ぎるまで、その股の中に戦場を抱えて生きているのだ。」この戯れ言に、返歌をしろと長野にお住いの女性から迫られた。おかげさまで、ワタシは、数奇な人生を歩んでいる。

 

「戦争が無くならない理由はなんだと思う?それはな、人間の中に『好き』と言う感情があるからだ。そんなものがあるから、好きな物を他人から奪ってしまう。LOVEさえなければ、PEACEなんだよ。」このタモリさんの言葉に感服する。ワタシは、ふられた女性を今も少し攻撃したい気持ちでいる。

女性がその股の中に戦場を抱えているというのなら、ワタシは戦いに行く。好きなものが増えれば敵も増える。こうして、戦場は、女性が創っていく。男たちは、そう性能も高くない武器を抱えて戦場をウロウロするだけのこと。どこまで行っても所在ない。

 

北海道の東にあるサロマ湖の北の方。湧別の公園で夏の一夜を過ごした。もう38年も前のこと。下宿でウジウジしている自分に喝を入れるために各駅停車の鈍行と徒歩で2週間余りをかけて辿り着いた場所。恐ろしいほどに真っ暗。満天の星が眩しくて眠れない。クッキリと濃い天の川。ひっきりなしの流れ星。その途方もない量の星屑と宇宙の広さが怖くて、胃の中のものを全部吐いた。深夜の公園でひとり嗚咽した。ホントに大事なことは人間の外から教えてもらうものなのだと、ワタシは悟った。

 

一睡もできずに迎えた朝。怖くて入れなかった公園のトイレに駆け込んでオナニーをした。LOVEも、PEACEも、右手の指の間からこぼれ落ちた。この空の下に、ワタシの居場所などない。住む場所や地位にこだわる男になんてなりたくない。だから、アウトプットするしかない。カキ続けていく。戦場を抱えられない男のサガである。申し訳ないが、一瞬も一生も、そんなに美しいものではない。

 

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

http://nakamurasyuji.com/

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