週イチ「たまりば」No.41 ワタシは手書きネィテイブである
2021.12.01
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

ワタシは手書きネィテイブである。

若いというだけで見下げてみるような大人にロクな奴はいない。そういう眼差しこそが「老害」である。いまから偉人になれる確率は、どう見ても若い人たちの方が高い。いまの自分より長生きするであろう若者たちを敬愛しない年寄りは、早く退場した方がこの世のためである。

若い人たちに無いものは、経験。無力であっても、信用できる若い人はいる。そういう人間が、革新的な社会の基盤を作っていくものだ。若い人たちを信じて頼ってみることが、年寄りの役割だ。いつまでも、根拠のない目標を振りかざして若い人たちのお尻を叩いている場合ではない。若い人たちが、自ら「若いことには、価値がある」と言わない環境をいかに創るかが老眼にもなった年寄りの仕事である。それは「年寄りには、価値がない」と言われないための対策でもある。

21歳で初めてワープロを買った。27歳の夏に、はじめてデスクトップパソコンがやってきた。親父に借りた100万円でマック一式購入して独立起業したのが31歳。ノートパソコンを持って歩くようになったのは40歳を過ぎてから。もう20年も前のことである。

その頃に、生まれたいまの若者たちは、物心ついた頃にスマホを手にしている。きっと、老眼のおっさん達が「アナログな体験主義」を説いている間に、何万人とのやりとりを成立させている。これからはグローバルだという論を読んでいる間に、国境を超えてコミュニティを広げている。スマホネィティブの若者達の情報処理能力は、想像以上に高い。老眼のおっさん達の経験の10年分を、ほんの数ヶ月で体験しているのではないのだろうか・・・。

手書きネイティブができない理由を探している間に、24時間できることをやり続けるスマホネィテイブ。動体視力の落ちた老眼には、そのスピードが見えない。早過ぎて何もやっていないように映る。

ワタシは、生粋の楽観主義者である。若い人たちが得しないと社会は滅びる。自然のことである。当たり前のことである。老いるとは、若い側に、得を譲ることのメリットを知ることである。孫もいるような年寄りになったのなら、嫌が応にも働かないで自由に生きることを実践するしかない。お手本が目の前にいっぱいいる。

まことに良い時代になったものである。
それを言えることが手書きネイティブの特権である。

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