週イチ「たまりば」No.61 キリンの睡眠時間は、たったの20分。
2022.04.22
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

キリンの睡眠時間は、たったの20分。

 

キリンの睡眠時間は、考えられないくらい短い。 熟睡してる時間は、たったの2分なんて言われている。 そんなキリンさんの話から、少しマーケティングのことを考えてみた。

 

キリンの睡眠時間は、1日20分。

動物界でダントツの1位の短さである。

 

睡眠時間の短い動物ベスト3のラインナップは、
次のようになっている。

1・・・・・・・・・・・・・・・・・キリン(20分)

2・・・・・・・・・・・・・・・シマウマ(1時間)

3・・・・・・・・・・・アフリカゾウ(3時間)

3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロバ(3時間)

3・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒツジ(3時間)

 

その説明によると・・・
一般的に草食動物の睡眠時間は短く、肉食動物の睡眠時間は長い。
これは餌に含まれるカロリーに関連している。

肉は高タンパク、高カロリーであるが、草は低カロリーなので多量の草を採らなければならないことから採食時間も長くなるという。さらに、草食動物は肉食動物の捕食の対象となることが多いので、身を守るために絶えず警戒していなければならないことから睡眠は浅く時間も短くなるという。

弱肉強食のサバンナで、キリンは、「食べる時間を長くして~寝ないという戦略」をとるわけだ。強い相手に、「戦わないという戦い」を挑んでいるわけだ。潔いと思う。正しいと思う。

 

戦略とは、「戦いを略す」。
戦わずして、生きることを考える。
そんな智恵を出すのが、ほんとうの戦略会議である。

 

供給側の論理は、もう通じない時代がやってきている。プロダクトアウト発想や、マーケットインという考え方も、もう古い。マーケットの主導権が「お客様」に移行しつつある今、好戦的なタームの話しをしていること自体が、ちゃんちゃら可笑しい。

 

喧嘩で勝つことは、長生きするための有利なオプションではない。
ダーウィンの進化論には、下記のような記述がある。

道徳性の高さは、特定の一個人やその子供たちを、同じ部族の他のメンバーに比べて、ほとんど、または、まったく有利にするものではないが、道徳の水準が上がり、そのような性質を備えた人物の数が増えれば、その部族が他の部族に対して非常に有利になるだろうということを忘れてはならない。愛国心、忠誠、従順、勇気、そして共感の感情をより高く保持していて、互いに助け合ったり、全員の利益のために自分を犠牲にする用意のあるような人物をたくさん擁している部族が、他の部族に打ち勝つだろうことは間違いない。そして、これは自然淘汰である。

 

これからのマーケティングのキーワードは、「道徳」「倫理」じゃないかなと確信するわけである。これからの戦略に必要なのは、「粘着性」と「共生」なのではないかと声を大きくして伝えたいわけである。

 

・・・と、現在、深夜の4時。
コラムの締め切りギリギリ。
おかげさまで、ワタシは、寝ないで頑張るブタである。

 

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