週イチ「たまりば」No.75 歓楽街のペットショップは、なぜつぶれないのか?
2022.08.04
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

歓楽街のペットショップは、 なぜつぶれないのか?

しょうがないなぁ・・・買ってやるワン。

ススキノにも、中州にもある。当然、新宿にもある。深夜の歓楽街の片隅に怪しく光るペットショップが・・・。

何でこんなところにペットショップがあるのだ?水商売の女性たちは、一人暮らしが多くてペット愛好者が多いから。確かに、そういう正当な面もある。お勤めの行き帰りに、男たちの欲望で汚れた心を癒すために立ち寄る。そういう憩いの場になることも想像できる。

しかしである、この歓楽街のペットショップの売上を支えているのは、実は、男たちなのである。歓楽街にあるペットショップは、キャバクラやクラブにお勤めの女性たちの「おねだり」で支えられている。男たちのチン×がペットショップの屋台骨となっている。

 

お店のアフターでビフォーで美味しいご飯を奢ってもらうのは当たり前。だが、「お金を直接要求」するのは、ルール違反だし、美しくない。そこで活用されるのが、このペットショップなのである。ほろ酔いの男性客とペットショップに立ち寄る。

 

キャバクラ嬢「まぁ、かわいい、このワンチャン」

男性客「おぉぉぉ、どれどれ・・・」

キャバクラ嬢「前からワンチャンを飼いたいと思っていたのよね」

男性客「××ちゃんも一人暮らしだからなぁ・・・」

キャバクラ嬢「××さん、欲しいなあ・・・」

男性客「しょうがないなぁ・・・買ってやるワン」

・・・ということで、生体が一匹お持ち帰りされるわけである。たいがい10万円以下。高級ブランドの鞄や洋服よりは、少し安いくらい。おねだりしやすい価格帯に設定されている。女性たちは、ニコニコでペットたちをお持ち帰りする。買ってあげた男たちは、下心アゲアゲで引き上げる。

 

三方よしだニャン。

そして、翌日・・・女性たちは、一夜を、その男性ではなく、ワンチャンと過ごして、再びペットショップに立ち寄る。その傍らには、昨夜買ってもらったワンチャン。お店は、当たり前のように、そのワンチャンを下取りする。こうやって現金を女性たちは手にいれる。女の子らしい可愛い面を維持しながら、ちゃっかりと数万円というお小遣いを手にする。お店の方は、同じ猫や犬が、グルグルと流通するだけ。最初の仕入れだけで、キャッシュがまわる。買ってあげた男たちは、割安で期待を繋ぎとめられる。これぞ三方よしのビジネスである。こうやって歓楽街のペットショップは、男の下心がある限り永久不滅の灯を点し続けるているのである。

東京のある経営者から・・・このペットショップのビジネスモデルをアプリにして上場した企業があると聞いた。そこで扱われているのは、5万円前後のブランド品。ペットほど面倒くさくない。スマホの中でおねだり完成。届いたブランド品を送り返して下取り遂行。そして、現金がおねだりした女性の銀行口座に振り込まれるという仕組み。

 

逞しいなぁ。

賢いなぁ。

それに比べて、男はいつも騙されてばかりだなぁ!?

 

 

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