
ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深堀りする新企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。
PEOPLE 16|サックさん
『金継ぎまでするのに洗濯はしない漢』

サックは、酒が好きである。だが、ただ飲むだけでは終わらない。酒を美味しく飲むために、つまみを自分で作る。レバーパテを仕込み、バケットに塗り、ワインを流し込む。さらにパンまで焼く。娘と一緒にこねて、発酵させて、焼いて、食べる。ここまでくると、もう趣味ではなく執念である。
そして、器にハマる。陶器市に通い、皿を選ぶ。さらに一歩進んで、“金継ぎ”に手を出す。割れた急須を前にして、「直したい」と思ってしまった男である。普通は買い替える。彼は直す。しかも自分で。ついには「一枚割ってみたい」とまで言い出すが、さすがに奥さんに止められる。笑
「きんつぎ」と読む。陶磁器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法。金繕い(きんつくろい)とも言う。修復された痕を遺し、それを景色と見立ててしまうところが滋味深い。
人のココロは、完全に修復されたりはしない。傷やひびを修復しながら生きている。その「金継ぎ」による生まれた佇まいこそが人柄でというものである。
ワタシは、金継ぎなんてことを趣味にしている人間は、手放しで信用することにしている。
ところがである。
洗濯はしない。
理由は「合間がある作業が苦手だから」。
一気にやるのは好きだが、途中で待つ工程があるものは無理らしい。いや、金継ぎもパンも、だいぶ待つだろうよ。
このアンバランスさがいい。
丁寧で、雑。
優しくて、自分勝手。
ちゃんとしているようで、ちゃんとしていない。
昔は先生になりたかったらしい。だが、気づけば遊び倒した学生時代の果てに、ひぐちグループに拾われたという。本人は「ありがとうございます」と言うが、たぶん会社の方が拾われている。金継ぎまでするのに洗濯はしない漢。
日常は、まったく完璧じゃない。
だから、まことにチャーミングである。
文/中村修治
有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。
ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。

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