HIGUCHI GROUP創業者、樋口謹之助の言葉や逸話を、時代を越えて様々な社員が独自の視点で解説する企画「謹之助の語り部」の第17弾。今回はHIGUCHI GROUP社員のDNAに刻み込まれた“誓いの言葉”についての話です。それではどうぞ。
お店はお客様のためにあります(誓いの言葉より)
~ お客様が喜ぶなら台も叩かせんね! ~
今回の語り部 : 営業部長 / 太田 光宏
謹之助会長(当時)の言葉の中で特に印象に残っている出来事のひとつです。
(謹之助とある元店長とのやり取り)
「壊れたら直せばよかやっか!そのお客さんがどんだけ負けたか分かって出入り禁止にしたとか?そのお客さんは、まるみつでパチンコすることを楽しみに来とったとじゃーなかとか?なんでそんがんお客さんを出入り禁止にするとか?そのお客さんも悪かことをしたと思っとるけん、その何倍も遊んでくれるさ!台ば叩いたくらいで壊れてもおらんとに。まるみつでパチンコすることを楽しみにしとる老人をいじめるようなことばしたらつまらん!」
我々は入社当時から顧客管理という名目で、遊技台を叩くような不届き者は、どんなお客様であれ厳しく接しルールを守って頂き、ルールを守らないなら出来り禁止にするように先輩方から厳しく指導を受けて来ました。そういった指導を受けてきた私からすると、謹之助会長の一言は衝撃的で「何を言っているのか会長は?」と最初は理解できませんでした。しかし、その話をきっかけにお客様を喜ばせることが何より大切であることについて、興味深い話が始まりました。
「何で台を叩かせたら駄目とか?」
「お客様が喜ぶなら台も叩かせんね!」
我々はお客様の立場に立って考えて行動することを入社当時から教わり、頭では分かっていたつもりでした。しかし、「お客様が喜ぶなら台も叩かせんね!」という一言から、なぜそうなのか謹之助会長の想いを聞くことができ、お客様の立場に立って行動する事について、本質的に理解できていない自分に気づかされました。またこの時、謹之助会長がお話されたことにとても共鳴したことをよく覚えています。そしてそれと同時に、今まで先輩方から教わってきたことが本当に正しかったのか?疑問を持つようにもなりました。
確かに台を叩く行為は許されるものではありません。しかし、お客様も大好きなパチンコ台を好んで叩いたわけではなかったと思います。パチンコが大好きで日々通う中でどうしてもその日の遊ぶお金が底をついてしまい、歯痒い気持ちになって、つい勢いで台を叩いてしまったのではないかとも考えられます。それを、たまたま正義感の強い従業員に見つかり、出入り禁止になってしまったのでしょう。確かに台を叩く行為自体は悪いので、本人の責任だと言ってしまえばそれで終わりです。しかし、商売をさせてもらっている我々の責務からよくよく考えると、台を叩くに至るまでお客様を追い詰めてしまった店側にも多大な責任があると思います。我らがまるみつの暖簾をくぐって頂いた方はどんな人でも大切なお客様であり、まるみつで遊ぶことに喜びを感じて貰うことが、とても大切であると思います。
ドラッカーも言っています。
「誰が正しいかで判断するのではなく、何が正しいかで判断する」
本当にお客様を中心に考えることができれば、お客様の行為だけが責められることではないと思います。そして謹之助会長は、なぜお客様はそういう行為をしてしまったのか?そこを真剣に考えることが重要であることを、この時の話のなかで伝えたかったのではなかったのかと思います。
今でもあの時の、勤之助会長の話は私の思い出と共に教訓として心に残り続けています。