謹之助の語り部 episode19
2023.03.15
謹之助の語り部

HIGUCHI GROUP創業者、樋口謹之助の言葉や逸話を、時代を越えて様々な社員が独自の視点で解説する企画「謹之助の語り部」の第19弾です。それではどうぞ。

 

コロナ禍を経て得た教訓

 

今回の語り部 : 営業部長  / 内野 孝博

 

先日、13ヵ月続いた「ドラッカー勉強会」が終了致しました。かなりタフな内容でしたが、終わってみれば人生の良き1ページになったと思います。このような機会が無ければ何度も挫折した難解なドラッカー本を読み解く事はかなわなかったと思います。

 

私がドラッカーの名前をはじめて伺ったのは謹之助会長からだったと記憶しています。今よりPCやネットが当たり前ではなかった時代に知を得る最良の方法は読書であり、謹之助会長がそれに常人の域を超えた量と時間を割き「講話」という形で一般社員にも伝えようとした姿は、今の年齢や資格になって初めて心の底から驚嘆すると共に、その重要性が理解できる気がします。(到底、足元にも及びませんが)

 

しかしながらそれにも増して感じることは“学び”よりも同じ体験、同じ時間や空間を“共有”する事が重要なのではないかと、このコロナ禍の3か年を通して実感させられました。ドラッカー勉強会もオンラインが主体でしたが、共に学んだ仲間がいました。その仲間がいたからこそ個人での学びよりも深いものになったのだと思います。

 

 

当時、謹之助会長が我々一般社員まで参加させて自身の口から伝えたかった講話の数々は、詳細な理解までは至らずともそのような時間や空間を“共有した”という感覚が残っています。創業者の想いや熱を体で覚えているといった感覚です。

 

この3か年で、自身も社内外も含め、人間は明らかにコミュニケーションが下手になっている(劣化している)のではないかと感じます。“技術”や“知識”ではない、人間本来の根本的な“感覚”が低下しているのがその原因だと思います。このコロナ禍では強制的に身近な人との関係性までもシャットダウンせざるを得ませんでした。そして、現在に至るまでの自粛期間は知らず知らずのうちに、あるべき関係性を蝕んでいるのだと思います。

 

 

本年度より「自己目標管理制度」が新たにスタートしました。マネジャーもスペシャリストもその意味を十分に理解しない中での運用スタートです。そのようなやり方自体は決して間違いではないと思います。しかしながら知識や技術を“頭で理解”すれば、組織は意図するような成果を生む事ができるのか。劣化したままのコミュニケーションや関係性のままでは“心の理解”が置き去りになってしまうのではないか。今こそ原点に立ち返り、先ずは双方向のコミュニケーションをとる事からスタートする事が重要ではないかと考えます。「自己目標管理制度」の作成チームに携わりましたが、その辺りも考慮されています。「1次評価者が期待する事」「1次評価者から得たいサポート」「今期担うべき役割」など、上司や仲間、部下との関係性が追加されています。「顧客の創造」に不可欠な「マーケティング」や「イノベーション」の項目も整理されています。何より、「自己目標管理制度」は自分が設定した目標を達成する為に、自分自身をマネジメントし、自己評価をするという能動的なものです。そこには“やらされ感”はありません。出来るだけ早期に身に付けるためにもコミュニケーションを高めていければと思います。

 

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