謹之助の語り部 episode20
2023.07.11
謹之助の語り部

HIGUCHI GROUP創業者、樋口謹之助の言葉や逸話を、時代を越えて様々な社員が独自の視点で解説する企画「謹之助の語り部」の第20弾です。それではどうぞ。

 

成長への願い

 

今回の語り部 : 営業部長  / 瀬戸口 竜也

 

【最初の出会い】

現在59歳の私は25歳のときにひぐちグループに入社しました。入社して間もない頃のことです。当時、私は遊ING長崎店のBOOK部門の担当者でした。本の整理をしている最中、一人の男性が店にやってきて、「辞書を探しているんだけれど」と尋ねました。その方はとても気さくに話しかけてきたので、私もかしこまらずに売り場まで案内し、いくつかの辞書を手に取りながら商品の説明をしました。彼はとても喜んで、「こいばくれんね(方言:これをください」と笑顔でレジを後にしました。その後、他の従業員から彼がひぐちグループの社長(当時)であることを知らされました。これが私と創業者との最初の出会いでした。

 

【遊ING営業部時代】

私が28歳のときです。当時、任天堂のスーパーファミコンが発売されたばかりで、ゲーム業界が急速に発展していく時期でした。ひぐちグループも新しい事業領域として、遊INGでテレビゲーム専門店を検討し、まるみつ浜線店の敷地内に1号店を開くことになりました。その際、私は担当者として役員会で説明の機会が与えられました。

 

当然ながら、私はまだプレゼンを経験したことがなく、緊張しながら業界の将来性やビジネス性について説明しました。そのとき、謹之助社長(当時)は私のつたない説明にうなずきながら、熱心に耳を傾けてくれました。28歳の経験が浅い私が呼ばれた理由はただひとつ、彼が現場で働く人々の決意を見たかったのではないかと思います。事業性や収益性は報告書を読めば分かることですが、最後は人です。信じて任せることの大切さを伝えたかったのかもしれません。

 

 

【飲食営業部時代】

私はその後、遊INGから飲食部門に異動し、しばらくして本社で勤務をするようになりました。謹之助会長は、時々、私のデスクにふらっと立ち寄り、「瀬戸口くん、これはどがん思うね(どう思いますか)」と質問をしてきます。質問は繰り返し行われ、それは私だけでなく他の社員に対しても同じで、最後はいつも返答に行き詰っていました。今、わが社ではFAの思考で「なんのために」を繰り返していますが、謹之助会長は質問によって物事の本質を気づかせようとしてくれていたと思います。結論を求めていたわけではありません。質問することで私たちに考えさせ、気づかせることを目的としていたようです。彼は答えを分かっていたようですが、それを最初に伝えることはしませんでした。私たちに考えさせることで、私たちの成長を促してくれました。

 

【社是】

ひぐちグループの店舗内には、社是が掲げられています。「真実、素直、情熱」です。お客様にとっての真実を追求し、お客様や周囲の声を素直に受け入れ、情熱をもってそれに応えること。これは人の成長を意味しているとも言えます。もはや経営資源とも言える創業者の「人の成長」への願い。これを継承し、HIGUCHI GROUPはさらなる飛躍を目指していく必要があると改めて思いました。

 

 

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