謹之助の語り部 episode3
2021.04.30
謹之助の語り部

HIGUCHI GROUP創業者、樋口謹之助の言葉や逸話を、時代を超えて様々な社員が独自の視点で解説する企画「謹之助の語り部」第3弾です。それではどうぞ。

 

「“顧客第一主義”の実践」

 

今回の語り部 : 取締役 / 福田俊彦

今回は、謹之助前会長のお話を聞くなかで私自身が学んだこと、感じたことを私が体験したエピソードを交えながら、皆さまにお伝えしようと思います。

私が入社後配属されたのは、林業・貸金業・不動産の事業をしている三巴産業㈱でした。当時は、毎週火曜日の朝7時から「早朝会議」が行われていて、会議の後は、謹之助社長の奥様が作られた弁当を朝ごはんとして頂きながらいろいろな話を聞かせて頂いておりました。


※ 三巴産業㈱の本社事務所 当時の様子

早朝会議では、各事業の状況報告と共に、貸金業の手形割引等に関する可否の意思決定もなされていました。その中で謹之助社長は、可否の判断に影響を与える根本的な質問をよくされていました。

その会社の社名の由来は何か?創業者の人物像はどうか?どういう意図をもって起業された会社なのか?代表者はどういう経歴を経てきた人で、会社をどういう方向に進めようとしているのか?取引先はどういうところか?メイン銀行はどこか?など、“お客様を知る”という事について様々な視点からの問いを受けました。その問いを通して、また評価・見方・対応の仕方などの意思決定を通して、数多くのことを学ばせて頂きました。お客様をよく観察する事、分からなければお客様に直接尋ねる事、長く取引をさせて頂いているお客様の変化に気付く事、その変化に気づく為の記録を残しておく事、そして変化の背景をその前後の状況から想定し対応する事等です。

 

もう一つお客様に対する謹之助社長の姿勢を表すエピソードがあります。
ひぐちグループは、昭和56年暮れに取引銀行からの依頼もあり、時津のゴルフ場を引き受ける事になりました。早朝会議がゴルフ場で開催される火曜日の朝、謹之助社長と共にゴルフ場に着いたとき、ちょうどお客様が来場されました。お客様がご自分でゴルフバッグをカートに乗せようとされているのを見た謹之助社長は、誰よりも早く車を降りて、慌ててお客様に駆け寄り、自らゴルフバッグを持ってカートに乗せる手伝いをされていました。まさに顧客第一主義を実践されている姿を目の当たりにした瞬間でした。

 

このように、常にお客様を大切にされる姿は、ひぐちで食事をされる際や、他のお店であっても、お客様に対する気働きや何気ない対応の中など、いたるところで見受けられました。

“お客様が欲しいものはこれではないですか?”と提案できるように常にお客様の事を考えておられたのです。

お客様に喜んで頂けそうな商品・サービスを、その良さを感じて頂けるような提供方法と、喜んで頂けそうなタイミングで提供する。そうする事でお客様に喜ばれ、お客様に喜ばれる事で、提供する我々も仕事にやりがいと自信を持てます。そしてお客様にリピーターになって頂き、友人知人周りの方々にご紹介頂く事で、より多くのお客様に購入して頂き、会社は収益が残せるようになります。そしてお客様とWinWinの関係になれるのです。

 

「お客様をよく観察し、考えて考えて、これでもかこれでもかと提案して、それでも分からなければお客様に直接聞きなさい」

「お客様に喜ばれるためには、お客様をよく知らないといけない。お客様をよく知らないと我々が生き残る道も分からない」

 

常にお客様の事を考え続け、“顧客第一主義”を貫いていた謹之助社長の言葉からは、今もまだ教えられている気がします。

目の前のお客様を大切にして、お客様をよく見て、よく考えて提案すれば、たとえその提案がズレていたとしても どこがどう違うか検討する事が出来、お客様に尋ねる事もできます。そしてお客様の評価・潜在欲求を満たすものを提供する事が、私たちが存続・成長するための指標である事を今一度よく認識しなければならないと思います。

 

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