週イチ「たまりば」No.74 “私”と“友達”と”OUR”と。
2022.07.29
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

“私”と“友達”と”OUR”と。

“この歳になっての友人関係について悩んでいます。以前は月に何度か集まる友人の集まりがいくつかあったのですが…近頃は結婚や出産などで参加率が悪くなり、仲の良い友人と会う機会が減ってきてしまいました”・・・という相談が届いたのでピシャッと答えてみた。

重要な人間関係というものは、そのときどきによって変わっていくものです。言い換えると、重要な人間関係がどう変わっていったか!?がその人の人生そのものです。

 

家族を持って、昔の友達と会う回数が減ったなら、旦那や子どもの関係が重要になったという。ただそれだけのことです。自分のことばかり考えていて周りが見えなくなっているわけではありません。むしろ、旦那さんや子どもさんのことばかり考えるようになったのです。

友人は確かに大切です。でも、旦那や子どものことを置いてでも私に連絡をちょーだいというのは、本当に友人ですか!?今日、いまの時間、お友達が自分より大事だという人が居ることを祝福してあげなきゃですよ。寂しいことですが、正しい友人とは、そういうものですよ。その友達の結婚式に出席したのならなおさらです。そういう時が来ることを覚悟するのが結婚式という儀式です。友人とは暇な時に会うようになるからねという宣言を聞きに行くようなものですよ。

ぶっちゃけ聞きますが・・・みなさんは、友達のことを四六時中考えていますか!?寂しいとか、辛いとか、遊びたいとか、時間ができちゃったとか、考えているのは、都合の良い時ばかりですよね。

他者はですね、自分のことなど、そう四六時中考えていないですよ。自分のことしか考えられないのが人間です。他者のことを考えたとて、いつも「私」が中心です。冷たい人間のようですが、他者の痛みが100%わかるなんてありえません。「あなたのためを思っている、言っている」という友人の忠言は、いつもロクなものではありません。

森田草平の『愚妻論』の中に、こんな言葉があります。「真に永続する友情というものは、先ず互いに相手の愚を認め、その愚を許して、更にそれを愛するようにならなければならない」。

本当の友人とはそういうものですよ。家族が出来て連絡が少なくなったと勝手に思い悩む相手など、友人ではないですよ。ちょっと濃い知り合い程度です。本当の友人であるなら、連絡しろよ!!と言えばいいです。水臭いじゃん!!と愚痴を言えばいいです。それができないような相手を友人と呼んで、私との関係も大事にしろとは、ワガママです。友人関係に悩む前に、本当に互いの愚を認め、許しあえる友人が居るのか!?を自分自身に問うてみてください。

どうやら“ひとりぼっち”こそ最強の生存戦略らしいです。友人関係を考え続けるとは、孤独になっていく過程です。それは、強くなっていくプロセスでもあります。

ひとりひとりが強くなってこそ
“OUR”も強化されるのだと信じています。

 

週イチたまりばバックナンバーはこちら

一覧へ