謹之助の語り部 episode10
2021.09.15
謹之助の語り部

HIGUCHI GROUP創業者、樋口謹之助の言葉や逸話を、時代を越えて様々な社員が独自の視点で解説する企画「謹之助の語り部」の第10弾です。それではどうぞ。

 

長期視点とマドルスルー

 

今回の語り部 : FA開発部 / 海田 大介

私が創業者樋口謹之助前会長との接点で印象に残っていることについて、お話しいたします。

「50年先を考えろ」

私は、1998年に三巴産業(現:ひぐち不動産グッドライト)へ入社し、貸金業を担当していました。当時、創業者である謹之助前会長と接触する場は、毎週火曜日の朝7時から行われていた「早朝会議」と、会議終了後、一緒に朝食(手作りお弁当)をとる時でした。

ある日、朝食をとった後、「何事も長期的な視点で考えないといけない」という話があり、私は、とっさに「長期とは、どれぐらいの期間ですか?」という質問をしました。当時の私の頭には、長期と言ったら5年先ぐらいかなという感覚でしたが、頂いた答えは「50年先を考えろ。50年はあっという間に来るぞ!」という返答でした。

最初は、「50年先?」そんな長いスパンの未来のことを考えるのは難しいと感じていました。しかし、その後のいろんな話の中で、伝えたかったことが見えてきました。実は、私と前会長の年の差はちょうど50歳。言いたかったのは、「あっという間に今の自分(前会長)の年齢になって、何もできなくなるぞ。後悔しないように、未来を考えて、今のうちに色々とチャレンジしなさい」ということだったのです。もちろん、長い目でモノゴトを見るということは重要なことです。しかし、それは長い目で見ることだけが重要ではなく、長い目で見たときに、今、何にチャレンジするべきかを考えて行動することが重要だというメッセージです。このことは、私の中で忘れることが出来ない、印象に残っていることです。

 

「マドルスルー」

謹之助前会長が実施していた「会長講話」でよく出ていたワードが「マドルスルー」です。電車に乗っていて、隣に座っている学生が英語の勉強をしていたので、この意味を聞いたら、「泥の中、手探り状態で、もがきながら出口を探し求めて進んで行く」と教えてくれたと話されていました。(本当かどうかは分かりませんが・・・)

このように、何か伝えたいときに、自分のエピソードを織り交ぜて話すのがとても上手な方でした。だから、この話をしている時の姿は、今でも目に焼き付いています。

この言葉で伝えたかったことは、どんなに困難な問題にぶつかったとしても、試行錯誤しながら、とにかく行動しなさいということです。未来に正解なんてありません。自分たちが考えた仮説を信じて、とにかく成功するように、もがき苦しみながら前に進むことが大事だということです。

 

「長期視点とマドルスルーとひぐち流改善」

謹之助前会長とのエピソードを書いていてふと感じたのですが、2017年に導入を開始したFAは、まさに未来思考でマドルスルーするための道具と言えます。

10年先、20年先は、どうなっているのでしょうか。一事業一法人化が進み、各法人に改善のプロが増え、クリエイティブな改善プロジェクトがあちこちで行われ、もう、当たり前に未来思考でマドルスルーされているでしょうね。

今までは、謹之助前会長が教えてくれた、「未来を考え、その未来を実現するために、チャレンジする」という一連のプロセスを体系化することができなかったですが、今やっている、ひぐち流の改善を使いこなすことで実現可能です。

また、今以上に会社を成長させるためには、社員一人ひとりがスキルを高め、今まで取り組んだことがないことに、組織でチャレンジしないといけません。未来のために、個人も組織も、ともに、チャレンジしていきましょう。

 

「最後に・・」

月一回の会長講話は、課長以上と主任では、別日程で開催されていました。当時、私は、主任の会長講話に出ていたのですが、「ここだけの話ばってん・・・」と前置きして、会社の重要な事項をお話しされる場面も多くありました。「上司には言うなよ、わしが怒られるけん」そう言いつつ会社の方向性をいち早く伝えてくれました。そんなところも、人間味があって、話す内容にものすごく共感したことを思い出しました。

 

 

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