文/中村修治
企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。
大事なものは、大抵、面倒臭い。
カーナビやETCなど、、、このようなテクノロジーは、付けちゃったら使います。そして、その恩恵に預かってみると、みんなが一様に言うのです・・・「なぜ!?もっと早くつけなかったのだろうか!?」と。
人間は、習慣の動物です。テクノロジーが生み出す事実に、従順に慣れて行きます。そして、それがないとダメなカラダになっていきます。怖いほどに・・・。
・・・ちゅうことで、ドライブレコーダーも当たり前のように普及しました。いつしかETCの着いていないクルマの方が例外になっています。悔しいけれど、哲学や生き方の前に、事実の方が先行してしまうのです。
「車は走るだけで十分だ!」なんて言っている人は、実は、面倒臭いだけなんですよ。しょーもない哲学の根底は「面倒臭い」です。面倒臭いことがしたくないという心理を見破られるのが嫌だから、偉そうに断言してみせたりしているだけです。
映画監督である宮崎駿さんの口癖は「面倒臭い」らしいです。『面倒臭いっていう、自分の気持との戦いなんだよ。究極的に面倒臭いよね。面倒臭いなあ。あー面倒臭い。創作する者にとって作業の99%は面倒臭い。それは主に技術部分で、習得に時間を消費する上、完全なものとは程遠い。これをはじめからある程度具えている人物が天才なんだと思う。発想だけなら誰でも出来るんだよ。』
スタジオジブリの作品は、「面倒臭いこと」を積み上げてできているのです。「面倒臭いこと」に手を抜いては、ただの面倒臭がりなわけ。「面倒臭い」ことを引き受けて、付き合っていかなくては何も生まれないわけ。「面倒臭い」をひとつずつ潰して来たから今があるわけです。
子育て、組織運営、夫婦のこと、親類縁者のこと。
大事なものは、大抵、面倒臭いのですよ。
テクノロジーの提示する事実は、
その面倒臭いを簡単に乗り越えてくれるから、
当たり前になっていくのです。