週イチ「たまりば」No.44 補助輪人生もあと3か月。
2021.12.22
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

補助輪人生もあと3ヶ月。

物心ついた年頃にやってくる最初のブレイクスルーは、きっと補助輪なしで自転車に乗ったあの日である。後ろで押していたお父さんの声が小さくなる。突然、ペダルが軽くなる。まわりの景色が走り出す。

 

右に傾いたり、左に傾いたり、補助輪を頼るのではなく、ペダルを踏む足に力を込めたら真っ直ぐに自転車は走り出すことをカラダで知る。それさえ身につければ、補助輪は、もう邪魔でしかない。

「我々の直面する重要な問題は、それを作った時と同じ考えのレベルで解決することはできない。」と言ったのは、アルバート・アインシュタイン。「学ぶとは、離陸することである。」これは、内田樹さんの言葉。

ブレイクスルーのあとに遺されるのは「同じ考えのレベル」や「古い教科書」である。もうそこには、戻らない。見向きもしない。補助輪がゴミになった時に、自転車は、風を斬って走れるようになる。

「補助輪」に似た言葉に「補助金」がある。地域創成なんて名目でジャブジャブと予算がつく。その「補助金」を申請し獲得するためのコンサルタントなどがウジャウジャと存在する。「補助金」獲得のための「補助輪」ビジネスが横行している。そういう輩は、真のブレイクスルーなど待ち望んでいない。独り立ちされたら商売あがったり。自分が捨てられる。

 

補助輪は、捨てられるのが本望。
お役御免である。
長女は、もう社会人4年目。
次女も、来春には、新社会人。
あと3ヶ月の補助輪人生である。

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