文/中村修治
企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。
毎年のことだけど、サクラが咲くよ。
毎年のことだけど、
バス停に向かう途中の大きなサクラが咲く。4月を目の前に就職や入学が重なるこのタイミングに咲くサクラ。思い出とともに咲き乱れる。日本人は、年度の変わり目を、いつもサクラと過ごしてきた。
毎年のことだけど、
自然とは容赦ない。ワタシたちの仕事や家庭の状況など関係なしに、毎年、決まったかのように蕾を膨らませ、来年も咲くことを約束するかのように、潔く散る。
毎年のことだけど、
サクラが散るたびに娘たちが大きくなる。来年なんかひとつも約束されていないのに、このサクラの勢いに誤魔化されて娘たちの大学進学を受け入れる。東京行きを祝う。潔い父としてやせ我慢だったな。
毎年のことだけど、
嫁さんのシワが深くなる。褒めてあげる間もない。褒めてあげる言葉も持たない。夫婦ふたりの来年なんかひとつも約束されていないのに、毎年同じサクラを一緒に見上げる。
毎年のことだけど、
家族なんてそんなもんだとサクラが教えてくれる。
互いに褒めることもなく、想うだけでクルクル巡るだけである。
毎年のことだけど、
サクラを見ながら、こうして人生のリセットをする。
うっすらと狂人にならなくちゃ、やっていられない。