
ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深掘りする新企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。
PEOPLE 51|Tさん
『息子は、一級整備士さん。』

Tさんは、真面目である。たぶん本人にそう言っても、「そうですかね」と返すくらいの真面目さである。派手な趣味があるわけでもない。昔、ものすごく悪かったわけでもない。浮気もしたことがないらしい。最後にもう一度確認してみたが、「ないですよ」と言われた。疑ってすみません。笑
そんなTさんにも、大学時代には少しだけ学生らしい時代があった。大学2年から一人暮らし。生活費を稼ぐために始めたのが、青果市場のアルバイトだった。講義がない日は、ほとんど市場へ行っていたという。そこで覚えたのが、トマトのパック詰め。いまでも「トマトのパックとか作るの、うまいですよ」と言う。なんだ、その地味な自慢は。笑
昔から、頭の中だけで何かを考えるより、手を動かして、きちんと形にすることが好きだった。小学生の頃はソフトボール。守備はサード。そして61歳になった現在、またソフトボールでサードを守っている。強烈なライナーをパシッと捕った瞬間がエクスタシー!!やっぱり、この人は昔から「ちゃんと捕る人」なのだ。
もう成人となった娘さんと息子さんがいる。中学時代、職場体験で大きな自動車メーカーの販売店へ行った。よほど気に入ったのだろう。そのまま京都の自動車大学校へ進学した。当初は短い課程のつもりだった。それが途中で「どうしても一級整備士を取りたい」と言い出した。だから、4年の課程へと変更。そして、一級整備士になり、いまは大手自動車会社で働いている。
この話をしている時のTさんが、いちばん嬉しそうだった。「そんなに上手じゃなかった」と息子のテニスを評しながら、一級整備士の話になると、なんとなく声が弾む。それ、自慢ですよ。笑
青果市場でトマトをきれいにパックしていた父親。61歳になっても、サードに飛んできた強烈なライナーをちゃんと捕ろうとする父親。そして、クルマをちゃんと直せる一級整備士になった息子。なんだか、よく似ている。派手なホームランを打つタイプではない。目の前に飛んできたものを、ちゃんと捕る。目の前にあるものを、ちゃんと直す。
長男は、一級整備士さん。これは、なかなか立派な、お父さんの勲章ですよ。
文/中村修治
有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。
ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。

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