
ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深掘りする企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。
PEOPLE 50|タニィさん
『怪物、前夜。』

タニィは、左利きである。高校まで野球をやり、ピッチャーも経験した。左の本格派——と言いたいところだが、本人曰く「軟投派です」。球が速くない。だから曲げる。純粋な真っすぐは、あまり投げない。なるほど。最初から、力で押す男ではない。
しかも、左利きなのに、字を書くのは右。子どもの頃に矯正された。習字まで習い、コンクールに貼り出されたこともある。ボールなら右でも一応投げられる。歌も上手い。カラオケでは90点台を連発し、最高96点。それもTHE YELLOW MONKEYだった。何気にカッコいい。笑
高校時代にはギターにも手を出した。バンドをやろうとした。音楽の専門学校も少し考えた。作詞にも興味があった。そして現在は、お店のSNSなどで文章を書く役割も任されている。なんだ、こいつ。そこそこ何でもできるじゃないか。
ところが本人はO型で、かなり大雑把。店長からは「A型と思われるような仕事をしなさい」と言われているらしい。繊細なのか、雑なのか。器用なのか、不器用なのか。本人にも、よく分かっていない。人生も、そんな感じである。
30歳頃に一度結婚し、離婚。その後、勤めていた店が閉まり、30代半ばで再就職活動。5社ほど受けて、ほぼ全滅した。それでも、借金に走るでもない。酒に溺れるでもない。人生を投げるでもない。「まあ、最終的にはなんとかなってるんですよね」。この大雑把さが、案外タニィの強さなのかもしれない。そして、なんとかなった。
ひぐちグループに入り、鹿屋店へ。そこで出会った女性と再婚。今年45歳にして、初めての娘が生まれた。さらに、店の創業日には、開店前の店内マイクを握り、突然『ハッピーバースデー』を熱唱する。社長まで聞いていたらしい。普通、やるか!?でも、ここが面白い。
左の軟投派。右手の習字。96点の歌。文章を書く力。人前で歌える度胸。そして、人生が思い通りにならなくても「まあ、なんとかなる」と受け流す大雑把さ。ひとつひとつは、大したことではない。ただ、こういう男が怖いのである。
器用貧乏とは、まだ才能の使い道が決まっていない人間のことなのかもしれない。45歳。娘が生まれた。守るものもできた。さて、ここから、このバラバラの能力がひとつにつながったら、どうなる!?
ワタシは密かに期待している。
タニィは、怪物、前夜。
ゴジラだって、最初からゴジラだったわけではない……たぶん。笑
文/中村修治
有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。
ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。









