週イチ「たまりば」No.25 すれ違う男女脳。
2021.08.11
週イチたまりば

すれ違う男女脳。

カミさんは、結婚式の打ち合わせの時に、ワタシが何を飲んでいたかを覚えている。32年も前のことだよ。そんなに記憶力が良かったら、他のことに使えばいいのにと、何度も思った。その記憶は、しょーもないことで揉めた時に、銃弾となる。ロイヤルミルクティーを見るたびに、腹が立つらしい。結婚式の打ち合わせに非協力的だったワタシが重なるという・・・。

女性の脳は、男性に比べて、脳梁の前にある全交連という部分が太いという特長がある。全交連が太いということは、右脳左脳を選ばず脳全体で考えたり、話したりする傾向が強い。また、そこは、感情を司る扁桃体と神経がつながっているので、より感情的になりやすいというのだ。

悲しい。寂しい。腹が立つ。人間は物事を記憶する際、感情が入ると覚えやすくなる。なので、全交連が太く感情が入りやすい女性の方が過去の出来事をよく覚えている。女性は、脳全体をフルに活用して、感情に直結した記憶を貯め込んでいるのだ。

そして、喧嘩をした時などに、男性にとっては「どうでもいい昔の記憶」が瞬間湯沸かし器のように涌いて出てくる。それは、もう、止められない。理屈じゃない。子育ての役割を担う女性には、危険を察知する能力が男より必要である。だから、感情と記憶が直結する。過去の記憶こそ、種の保存に必要なことなのである。

「過去」の話しを持ち出されたら男性は、女性に勝てない。「過去」は、事実であるので、やっぱり強い。男は、記憶力が弱いから「未来」に逃げるのである。男は、未来や夢を語り続けながら「過去」を改竄して生きていくしかないのである。

32年前のあの日、いつものように珈琲を飲んでいなくて良かったとつくづく思う。飲んだこともないようなロイヤルミルクティーを注文するワタシの危険察知能力を褒めていただきたい。

 

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

http://nakamurasyuji.com/

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