週イチ「たまりば」No.47 寅年は、豪雪で壊れた家で始まった。
2022.01.13
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

寅年は、豪雪で壊れた家で始まった。

おふくろが壊れる前に、家が壊れた。豪雪のニュースなど他人事だと思っていたけれど、、、改築を続けた築80年の家は脆かった。今年の正月は、重過ぎた。先送りして来た問題が一挙に押し寄せる。怪我がないことだけで御の字。

還暦は、最後の厄年。寒さが身に染みる。

家の解体も決まった。彦根豪雪のニュースが世間を賑わせたのは、年の瀬もおし迫る27日のこと。あれから、おふくろと姉と3人で。生まれた故郷を真っさらにすることを決めた。たったの数日で。でもこれが津波だったらきっと数秒だ。判断する猶予があるだけ幸せだよなぁ。考えてみたら奇跡みたいに恵まれた決断だ。

そんなお正月であっても、自分で動ける内はと、齢87歳のおふくろは、出来る限りのお節は用意する。朝には、朝ご飯。夜には、夜ご飯。なんもなくても台所に立つ。

本当に意味を持つのは、習慣だけなのかもなぁ!?と改めて思う。新年の抱負も、仕事への覚悟や情熱とかも、おふくろの習慣の前では、無力である。

自分の下手さを恥じることもない。格好を付けない。続ければいつの間にか上手になっていく。想い続けたこと。やり続けたこと。習慣となったこと。やっぱそれだけなのかもなぁ!?と感じ入るお正月だった。

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