PEOPLE 30|年中ハロウィンさん 『ニュータイプ職人!!見参!!』
2026.06.23
シン・従業員紹介「HOME ROOM」

 

ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深堀りする新企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。

 


 

PEOPLE 30|年中ハロウィンさん

『ニュータイプ職人!!見参!!』

 

 

面白いほど“こじらせている”。大学では、シロイヌナズナの遺伝子研究をしていた。AとかTとかCとかGとか。あの遺伝子配列を並べながら、「この遺伝子は、どんな機能を持っているのか!?」を探していた男である。しかもテーマは、光合成。うまくいけば、食料問題や環境問題にも繋がる可能性がある研究だった。

 

……ところが本人は、研究室で、酒とタバコとスロットにハマる。しかも、教授に「夜は研究しろ!!」と怒られても、バイトを辞めたフリして居酒屋に通い続ける。なんなら、その居酒屋の店長に、酒も博打も教わっている。どんな教育環境だよ!!笑

 

しかも、この男。ピアノサークルに所属し、コンサートホールで宇多田ヒカルの『First Love』まで弾いている。さらに、ガトーショコラを焼く。和菓子まで作る。遺伝子研究しながら、酒飲んで、ピアノ弾いて、ケーキ焼いて、スロット打っていた。完全に“ニュータイプ”である。

 

しかし——研究は、うまくいかなかった。たった一度だけ、実験がうまくいく。だが、同じ結果が二度と出ない。研究とは、才能よりも“再現性”の世界だ。進まない。終わらない。同じ実験を繰り返す。やがて年中ハロウィンさんは、研究室より、居酒屋の厨房にいる時間の方が好きになっていく。

 

そして今。年中ハロウィンさんは、山にいる。チェーンソーを持ち、木を倒し、重機を動かしている。しかも、林業における彼の快感ポイントが、また変だ。

 

「木を綺麗に列状に切れた時が嬉しい」……わからん。笑

だが、話を聞いているうちに、ハッとする。いまだに“配列”を見ているのだ。

 

昔は、ATCGの遺伝子配列を見ていた。今は、森の木の並びを見ている。3列残して1列切る。どこを残し、どこを切るか。その“配列の仕上がり”に、美しさを感じている。つまり年中ハロウィンさんは、研究者を辞めたわけではない。研究対象が、研究室から“山”に変わっただけなのだ。

 

「研究は失敗した」「自分は真面目じゃなかった」「大した成果も出せなかった」そう言いながら、いまも植物の中にいる。しかも、山のど真ん中で、汗だくになりながら。“頭で考える研究者”ではなく、“身体で自然を読む研究者”だったのだ。

 

ニュータイプ職人!!見参!!

こういう男が、これからの林業を、ちょっとだけ進化させる気がする。

 


 

文/中村修治

有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。

ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。

シン従業員紹介「HOME ROOM」バックナンバーはこちら。

一覧へ