
ひぐちグループで働くヒグチ人をプロライターが深堀りする新企画!
プロが綴る、働く仲間の新たな一面とは?
それぞれの「想い」を知り、繋がりを感じるコラム集。
PEOPLE 35|子煩悩さん
『深夜バイト発、終着駅は“子煩悩”。』

ニックネームは”子煩悩”にしてくださいと、いけしゃーしゃーと。笑
“子煩悩”に辿り着くためには、ちょっと遠回りして大人になった男である。
高校卒業後、調理師学校へ。だが、その後の人生は、一直線ではなかった。洋菓子店、居酒屋、海水浴場の監視員、運送会社、年賀状の写真加工、レンタルビデオ店、お化け屋敷…。しかも、その中には“深夜のアダルトビデオ屋”まで含まれている。朝まで働く。酔っ払いが来る。常連客の“好み”まで覚えてしまう。時には、警察が来て、指紋だけじゃなく掌紋まで取られる。なかなかの人生である。笑
本人いわく、「ろくでもなかった時代」。ちゃんとした正社員にもなれず、フリーターを転々とする。結婚なんて、到底考えられなかった。さらに追い打ちをかけるように、お母さんが亡くなる。生命保険会社で働き始めた頃だった。仕事もキツい。心もキツい。気づけば、公園のベンチで空を見ながら、理由もなく涙が出ていた。
「これじゃダメだな…」たぶん、その時だったのだと思う。
人生の“下”を見た人は、少しだけ人に優しくなる。
その後、27歳でひぐちグループへ。パチンコ店のアルバイトから始まり、気づけば15年以上。現在は不動産営業。店舗物件を探し、地主さんと話し、人を繋ぎ、関係を整える仕事をしている。
彼の武器は、“ニコニコしていること”だ。営業マンとして、これは最強である。しかも作っていない。「とりあえず笑っとこうかな」という、生き残りの知恵みたいな笑顔だ。だから、怖くない。押しつけがましくない。気づけば、みんな話している。
実際、彼は“人”が好きなのだと思う。パチンコ店時代も、高齢のお客様と話すのが楽しかったと言う。転勤しても、「この街、美味いもん何があるかな」と探し回る。福岡のうどんを愛しすぎて、気づけば24kg太っていた。もう完全に、人生に馴染み切っている。笑
数年前、ようやく娘が生まれる。不妊治療を経て授かった子だった。だから、なおさら可愛い。現在2歳。“イヤイヤ期”真っ最中。それでも、もうメロメロである。「お父さん臭いって言われるのが怖いですね」……わかる。笑
深夜のエロビデオ屋で働いていた男が、いまや娘の未来を想像して震えている。
人生とは、本当にわからない。
奥さんとも仲がいい。浮気もしない。
「自分がされて嫌だったから、自分はしない」とハッキリ言う。
なんだ、この真っ当な着地は。笑
深夜バイト発、終着駅は“子煩悩”。
人生って、たぶん、こういう回り道の方が、最後は、味が出る。
まことに愛されるキャラクターである。
文/中村修治
有限会社ペーパーカンパニー 代表取締役社長。
1962年近江の地で生まれる。1986年に立命館大学を卒業。1989年にバブルの泡に乗って来福。1994年に㈲ペーパーカンパニーを設立し独立。福岡に企画会社など存在もしなかった頃から30年以上も最前線で生きているプランナー。「JR博多シティ」のネーミングや「テレQ」のCIなどが代表的なお仕事。コラムニストとしても多誌で執筆。福岡大学の非常勤講師も務める。
ひぐちグループとの関係は創業65周年の時から。以降、ひぐちグループの新CIの開発の総合ディレクションを契機に、週イチたまりばの投稿は、200本に及んでいる。










