HIGUCHI GROUP 社内報「KURENNE(くれんね)」の中から、皆様にお届けしたい情報をピックアップ!
今回は、特集 eスポーツ として
チクリン選手インタビュー「鉄拳ワールドツアー2連覇ならず-惜敗の裏側-」
をお送りします。
2月はオランダで「鉄拳ワールドツアー(TWT)2022」、3月にはイギリスでの「Red Bull Golden Letters 2023」と世界中を飛び回るチクリン選手(遊ING営業部所属 嵩 裕太 社員)。史上初の年間世界王者連覇を賭けたTWTでは惜しくも3位という成績であったが、世界を舞台に戦うプロeスポーツプレーヤーとしての思いや今後の活動について語っていただきました。
鉄拳ワールドツアー(TWT)2022を振り返って、大会の様子を聞かせてください。
まず、TOP16を決める大会(※1)のブロックで2勝1敗でしたが、得失点差で予選落ちしてしまって、尋常じゃないぐらいガチ凹みして、心折れるぐらいのダメージを受けてました。本当に悔しくて。
LCQ(※2)で頑張って、ウィナーズ・ファイナル(※3)まで行って、2本先に取って2ラウンドも先に取って「イケそうかな」とチラついたんです。
鉄拳あるあるで「試合中にイケそう」と思うとダメなんですよ、それから一気に逆転されてしまいました。
ルーザーズ(※4)でも、最後にいつもしないようなコンボミスして「ミスで負ける」という、自分の鉄拳人生でも一番、悔しい負け方になったんじゃないかと思います。
そこから毎日、そのシーンが頭に浮かびます。
2連覇した人が、今までいないので、そこで勝っていたら業界にもいろんな影響が与えられるし、長崎にもいい影響を与え、会社にもいい影響を与えられる。人生が変わる大事なポイントを逃しているってことなので、あの負けは、一生、心に残ります。
(※1)TWT2022世界決勝本戦の日本代表枠2名を決める大会。チクリン選手は9位で敗退。
(※2)上位3名のみが本戦に出場できる現地での最終予選。チクリン選手は2位で突破。
(※3)TWT2022世界決勝本戦。
(※4)TWT世界決勝本戦の敗者トーナメント。最終結果は世界3位。
-優勝した選手を一番、追い込んだチクリン選手だったが悔しさを滲ませた-
鉄拳の大会デビューはいつごろ?
たしか、高1だった気がします。
中学の時は見ているだけで、「弱いんで~」って感じで(大会には)出てなくて。高校性になって、ほどよく勝てるぐらいになってきたときに店舗大会があって、勝てば称号がもらえるって聞いて、そこで出たのが最初です。
鉄拳を始めてからは20年ぐらい経ちます。
「鉄拳もういいや」「格闘ゲームから離れたい」と思ったことは?
大会で負けたその時は、「自分の人生終わりだな」って凹み方で、すべてを失ったぐらいになるんです。
でも鉄拳へのモチベーションが落ちることはないですし、他のゲームに浮気することもないです。結局、「鉄拳の方が面白い!」ってなっちゃうんです。
「鉄拳8」への期待も膨らみますが、シリーズの新作が出たら?
自分は勝てなくなります、本当に勝てない。
対応が早い人、遅い人いるが自分は遅いので、ひたすらやり込むしかないタイプです。
「努力のラストサムライ」と言われてますが。
ちょっと意味が分からないです。ラストサムライの意味も分からないし、自分の何がラストサムライなのかも・・・。(笑)
侍のニュアンスは「ひらすら磨いて、挑む」みたいな感じだと思いますが、ラストサムライってのがよく分からないです・・・。(笑)
日々のプレイは「練習」、「自分を追い込む」という感覚?
練習ですね。
楽しむのは大事。でも辛いことの方が多くて、うまくできないことやミスに責任感を感じるし、結構、ストレスになる。「こんだけ練習してるのに」ってなります。
好きですけど、できないことにストレスを感じるんですよね。イメージどおりできなかったり、自分のミスが許せないって感じです。
そのストレスがたまったら、どう解消する?
ひたすら練習します。鉄拳やるだけですけど。(笑)
でも、まだまだダメです。本当に勝ちたかったら健康面や体力面など、プレイ以外でも努力しないといけないんですが・・・。(苦笑)
いつ寝ているのか分からないぐらいですが、
長時間の動画配信も含めて、なぜそんなに練習できるのか?
練習は動画の配信外でもやっているので、体調管理はしっかりしたいと思ってます。
トレーニング器具もあるのですが、買うだけ買って三日坊主。ルームランナーもあるんですけど・・・。(苦笑)
とりあえず起きてる時間は、練習もそうですが、純粋に鉄拳が好きなんで、それでできていると思います。
2019年のパキスタン修行で印象に残ってることは?
対戦中、しょっちゅう停電してました。
そんな環境の中、強い人たちがたくさん集まって、スゴイことだと思いました。
そこでは自分、かなり負けたんですよ。
プロになりたいプレーヤーが多い中、プロの自分が勝てない。すごく申し訳ない気分でした。
とにかくハングリー精神がすごい、顔つきが違うんです。その時は、それで気合が入りました。
チクリン選手が考える「才能」とは?
才能は必要かもしれないですが、努力の方が強いと自分は思います。
でも努力の仕方を間違ってはいけない。伸びていくには順序があって、それをしっかりやっていけば絶対に強くなる。それから、教えてくれる人は絶対にいた方がいいし、ライバルがいた方がいいです。
チクリン選手が講習会などで教えていて、いい選手に出会うことはある?
あります。「こんなこと(技)ができるのか」と思うことがよくあります。
そういうときは、「この人たちがどうやったら鉄拳を続けてくれるのかな」と考えます。
一人でやっても続かないから、一緒にやる仲間がいた方がいいと思いますね。
ライバルは?負けたくない選手は?
誰にも負けたくないです!
しいて言えば、“兼業”プロプレーヤーには負けたくないです。
自分は専業。集中できる環境でやらせてもらっているので。
自信があるわけではないけど、試合になると「絶対に負けない!」「やるからには優勝しないといけない!」という気持ちで戦ってます。
-EVO Japanまであとわずか。「休む暇はない」と気を引き締めた-
今後、やりたいことは?
配信など自分のはエンタメ性が無いので、そんな自分にできることって何かな?と考えたら、色んな地域の強いプレーヤーを発掘するために自分が出向いて対戦する、みたいなことをやってみたいです。
国内のダーツの旅みたいに「ここに行ってみよう」って実際に行ってみたりして。まだ表に出てない強いプレーヤーのためにもなると思うし、旅はあまり好きじゃないけど、盛り上げるためにも、コンテンツとしても面白いと思うんです。
-「その為には世界のトップに居続けないといけないので頑張らないと!」とも語った-
チクリン選手らしい、穏やかさの中に熱いものを感じさせていただきました。
大会前の貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。
編集・ライティング / HIGUCHI GROUP広報室