週イチ「たまりば」No.77 愛は地球を救うのか!?
2022.09.01
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

愛は地球を救うのか!?

 

「愛は地球を救う」この大雑把な物言いが苦手である。何故!?そんな簡単にみんな泣くのだ!?涙目で走って、なんか救えたか!?あいもかわらず障害者を健常者が消費しているスタンスが受け入れられない。安っぽい感動の押し売りを続けるのだけは、再考いただきたい。障害をお持ちの方々は、他者を感動させるためのネタではない。

 

 

プロ野球の世界では、100回打席に立ってヒットを30本打つか?25本にとどまるか?たったの5本。この差が一流か二流かを分ける。プロ野球選手は、この5本の差を埋めるために努力をする。練習をする。結果を奇跡なんて言ってる選手は、きっと大成しない。

健常者が心身に障害がある方の努力の結果を奇跡なんて持ち上げるのは、それこそ侮辱である。できないことを前提とした奇跡のお話は、ヘドが出る。たった5本の努力の差は、健常者にも、障害のある方にも、一様にある。その差を埋める努力は、奇跡ではないし、障害のある方の特別なものではない。目の前に突き付けられている努力を大雑把に奇跡と称してしまったらそれまでである。奇跡やねぇ・・・って!?ちゃんちゃらおかしい。

正直に言う。ワタシは、人の親にもかかわらず、24時間四六時中、娘たちのことなんて考えていやしない。きっと数分程度。束の間である。だからこそ、その1分1秒を大事にしたいと思っている。24時間愛は地球を救う!!なんて図々しいことを言っているから、いつまで経っても地球は救われないのである。

人生とは今日1日のことである。それとて自己愛に翻弄された24時間。奇跡的な利他の愛が発動するのは、1440分の内の数分のことである。自分たちが24時間いいことをしているなんて思っている大人を信用してはいけない。そんな人達の24時間を分刻みで追ったドキュメンタリー番組の企画ならのってもいい。タイトルは「1440分の数分テレビ」。涙目の大人たちが正気に戻る奇跡の番組である。

 

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