週イチ「たまりば」No.94 何と言おうと、現実が正解なのです。
2023.06.01
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

何と言おうと、現実が正解なのです。


私は公立高校に裏口入学した経歴があります。親が数学の先生にお金を渡し、事前に試験問題は入手して知ってました。相手は公務員ですから、いわゆる贈収賄で有罪ですね。今も悶々としてます。親と先生と共に犯罪を隠したままで、たまに気が狂いそうになります。が、ここは自首して罪を公のものにしたい。親と先生と私?は逮捕有罪でしょう。が、悩みます。墓場まで持っていくべきでしょうか?


 

こんな罪深いお悩みに答えたことがある。

相談の主は、22歳。

良く考えてみてください。裏口入学をした高校を卒業して、もう4、5年経っているわけです。キミの現実は、その裏口入学があってのものです。それが、答えです。何と言おうと、現実が正解なのです。『よく覚えとけ。現実は正解なんだ。』これは、立川談志師匠のおコトバです。キミにプレゼントします。

 

親と先生たちの罪を責めるなら、知ったときしかなかったのですよ。その数学のテストは、白紙で出すべきだったのですよ。言い換えると、その事実を知りながら入学して、それなりに青春を謳歌して、今日があるということは、キミは間違いなく共犯者です。気が狂いそうになるのは、きっと、そのせいです。自分を責めているということですね。

 

しかし、そんなのしょーもない人生ですよ。その罪を社会に明かしたからと言って、満足するのは、キミの自尊心だけですよ。罪を感じているのなら、共犯の親や先生を巻き込むのではなく、自分の現在を正してください。そういう大人にならないことを決めて前向きに生きてください。不正のない社会を作るために努力してください。すごく立派に成長してから、親に知っていたコトを話してください。その先生のところに行って感謝のコトバを述べてください。キミの贖罪は、キミが立派になって、不正を働いた大人たちのところに行って、不正の事実を知っていたことがワタシを支えたと釘を刺すコトです。

 

墓場まで持って行っては、ダメです。

それは、ただの隠蔽です。

キミが墓場に行くまでに、解決してください。

 

墓場まで持って行っていいのは、浮気の事実や、ちんけなカンニングぐらいにしてください。あきらかな罪は、生きているうちに償うのが、良い大人というものです。

 

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