週イチ「たまりば」No.51 若気の至りには目を瞑れよ!!
2022.02.10
週イチたまりば

文/中村修治

企画会社ペーパーカンパニーの代表取締役社長。PR会社キナックスホールディングスの取締役会長。福岡大学非常勤講師。滋賀県出身。Good不動産やJR博多シティのネーミングなども手掛けた戦略プランナー。西日本新聞「qBiz」やitMedia「BLOGOS」のコラムニスト。フェイスブックのフォロワー数は、9000人越え。

 

若気の至りには目を瞑れよ!!

「××高校の男子生徒が女風呂を ××県内で宿泊学習中」こんなニュースが、マスコミの格好のネタになる。のぞきも確かに悪い。盗撮なんてもってのほかだ。あまりにも軽率である。インターネットの時代である。盗撮した画像をネットにばらまけば大問題にも発展するところである。

 

しかし、この事件で被告みたいになってしまった男子生徒に、そこまでの悪意があったのだろうかと思う。一昔前なら、「女風呂を覗く」というのは、青春漫画やドラマでは定番のシーンである。このシーンの落ちは、きゃっーって叫ばれて、お湯をかけられて・・・はいおしまい!!である。

 

なぜ、マスコミは、これを『若気の至り』で許せないのか。大目に見られないのか。もっと大事なことを報道して欲しいと心から思う。マスコミこそ「社会の大目」の基準ではないか・・・。

 

悪いことは悪いことである。しかし、多くの小さな罪は、そもそも悪いから犯したのではなく、「弱いから」犯したものである。だから、大目に見るという社会システムが重要なのだ。その「善悪」の判断基準を育てるのがマスコミの本来の仕事だろう。

 

利権にしがみついた大人達の事情を、利権を守りたいマスコミが大目に見る。一方で、どうでもいいような『若気の至り』は許さずにニュースにする。そんな日本を、若者達が魅力的だと自賛するわけがない。

 

アメリカの哲学者・ウィリアム・ジェームズの『賢明になるコツは、何を大目に見るかを知ることである』という格言になぞって言うなら・・・マスコミは、悪者をあら探しする場所ではない。「大目に見る」=「賢明な視聴者」を育てる場であるはずである。

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