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今月のメッセージ

今月のメッセージ

Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

寄道小径 2021年4月

その地に生かされて、

よく目にする光景で地鎮祭がある。

地鎮祭は一般的な認識として建物を建てる工事の安全祈願祭と思われがちだが、
本来は土木工事や建築などの工事を始める前に行う、その土地の守護神を祀り、
土地を利用させてもらうことの許しを得る祭りである。
昨今ではこの儀式自体無駄な経費との認識なのか省いてしまうのを見かける。
しかしこれを単に神仏の儀式だと捉えてしまうことは誠に残念なことだと思う。

(定かでないが)1982年ごろ、友達とBOSTONからLAまで車で旅をした。
途中「知り合いがTEXASにいるからよかったら寄っていかないか⁉」との誘いを受け
軽い気持ちで立ち寄ることに。着いたところがなんと立派な剣道場である。

(なんでこんなところに道場???)

そこに現れたのは小柄な日本人のおじさん。
友達とそのおじさんが近況報告で盛り上がっている中、ふと道場を見渡すと壁に
星条旗が掲げられていた。剣道は日本の国技である為、一般的に考えると日本の
国旗だけとは言わないが、せめて二国の国旗を掲げるのが普通と思い、
先生に「何故、星条旗だけなのですか?」と尋ねると
「私は今この地で生活をさせて頂き生かされているから」と
ニッコリと、そしてさらりと言いのけたのである。

その人こそ鍋島藩の末裔で剣道6段の剣士でもあり鍼師としても著名な
鍋島健士氏である。
鍋島氏は鍼師としてひょんなことから(この話が面白いのであるが・・・・)
アメリカに渡り多くの人からの支援を受けた。結果として、日本から来た一人の
鍼師の為にTEXAS州における東洋の伝統医療を合法化へ変えてしまった程の人
なのである。

土地を借りたから・買ったからだけで自分のものと横暴にならず一時的に神様から
お借りして使わせていただく。
そういった、謙虚な気持ちが大きく人生を広げていくのでしょう。

私どもも“地域に愛される商売を行う”をしっかりみんなで共有したいものです。
ちなみに鍋島先生は1928年生まれの現在93歳。
当時54歳でこの境地、凄いですね。