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今月のメッセージ

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Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

寄道小径2023年3月

『時代の変化とカレー屋さん』

 

つい先日の東京出張中、お昼も兼ねた予定が急遽キャンセルとなった。
久しぶりの2時半まで全くのフリータイム!!!
まずはお昼何食べようか?
前回来たとき新橋の裏路地で見つけた開店一時間前から並ぶ新しいラーメン屋が頭に浮かぶが、
今日はラーメンという気ではない。
そういや、出張時よく行っていた『八重洲ブックセンター』が無くなると聞いていた。
『ブックセンター』行こう、なら近くにあった南インドカレー屋さん、久しぶりに行ってみるか。

もう何年前になるかわからないが東京定宿ホテルのインド人スタッフが薦めてくれた
南インド料理店『ダバ・インディア』である。
その当時は、インド料理の中であえて南インドとこだわる意味を理解もせず、
予備知識もないままに南インド料理初体験のカレー。
いわゆる、しゃばしゃば系であるが、今まで味わったことのない複雑なスパイスは衝撃であった。
数回通ううちにレジにいた日本人女性スタッフに
「長いこと一緒にいるとここのカレー作れるでしょう?!」と聞いたところ
「それがどうしてもあの味にはならないのです」といっていたのを思い出した。

新橋から歩いても11:15のオープンには十分間に合うので
『八重洲ブックセンター』で本を物色してからの昼食と考えて、てくてくと銀座を横切る。

昼日中、改めて目にする銀座はコロナ禍をくぐり抜けて時代の変化を象徴するがごとく、
新旧入れ替わり始めた新店オープンと、あちこちで新しいビル工事が騒々しくもあり、
時代が大きく変わり始めたなと否が応でも感じざるを得なかった。

銀座をぬけ京橋、あっという間に八重洲、目的のお店はすぐそこである。
街角を曲がり目にした店の前ではオープン30分前にもかかわらず20人強の列。
“ヤバッ!!!”
本屋は後回しでそそくさと列に加わった。

待つこと30分。オープンと同時に入店。
入店と同時に満席となり、独特の青色の店内と独特のスパイスの香り、
厨房からの活気あるインド人の声で気持ちが上がる。
ランチメニューの中から3種類のカレーを含むすべてを楽しめる「ランチミールス」を注文。
ほどなくして料理が運ばれ、待ちきれなく食す。

『美味い!!!!』唸ってしまった。

汗びっしょり、幸せな気分ですぐそばの『八重洲ブックセンター』へ。
店内はお店からの長年のご愛好への感謝と、壁一面のお客様からの感謝の寄せ書きが本当に閉店することを実感させられた。感傷に浸りながらもリアルショップでしか出会わない本4冊を、幸運にもゲットすることが出来た。
本屋さんの良さを改めて実感するとともに、ここで多くの本に出会ったことに感謝した。

汗も引き、近くのショップに立ち寄りそこの店員さんに昼食で『ダバ・インディア』に行ったことを伝えると
「『八重洲ブックセンター』と同じく再開発でカレー屋さんも4月2日で立ち退くそうで、移転先も決まってないそうですよ。この界隈も大きく変わるんです。」

もう一度『ダバ・インディア』に寄ってみた。
お昼2時、まだ20人ちかくのお客様が並んでいた。
お腹いっぱいだが、もう一度食べようかと心動いた。