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今月のメッセージ

今月のメッセージ

Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

寄道小径2022年8月

『3人のおじさん』

 

時は2年にも及ぶ世界的パンデミックも終焉を迎え、コモレビが差し込もうとしていた2022年6月。
偶然にも3人のおじさんがアルバムを発売した。

【6月15日】
小田和正(74歳)『early Summer 2022』全9曲37分。
8年ぶりのオリジナルアルバム。

【6月22日】
山下達郎(69歳)『Softly』全15曲94分。
11年ぶりのオリジナルアルバム。通常版とライブ音源CDと限定2枚組。

【6月29日】
吉田拓郎(76歳)『ah-面白かった』全9曲36分。
10年ぶりオリジナルアルバムで52年の音楽活動ラストアルバム。
通常版とアルバム作成ドキュメントDVD付きの2パターン。

 

小田さんのアルバム『early Summer 2022』

前作のアルバムから曲の新曲発表はあったものの、ネット配信限定で、もう最後か、これで最後か、と思われたなかでの発売である。いい意味でも悪い意味でも、どんな時も動じない小田節。ただただ心のひだに、ひたひたと浸みこんでいく、本来持っている人間のやさしさに寄り添ってくれるアルバムである。

 

達郎のアルバム『Softly』

元来、職人気質のミュージシャン。今回も期待を裏切ることなく、今流行りの80`sをまぶした、今までにないデジタルな楽曲やキャッチーな詞。今だ衰えを知らない健在ぶりをうかがえるアルバムを届けてくれた。発売前の露出も、この3人の中では最も戦略的で力の入れ具合は今までにないモノであった。

 

拓郎のアルバム『ah-面白かった』

2003年にがんを発症し、2014年に再発。直前のライブも中止したり、そんな中でもちょこちょこアルバムを出していたが、今アルバムが引退宣言のラストアルバム。ちょこちょこ出していたアルバムが不発?であった為一番期待薄であったが、一曲目から全身全霊、一球入魂。吉田拓郎は“昔の人”ではなかった。更にドキュメントDVDは多くの人に伝えることが出来る武器になっていて必見です。音源だけでなく、3枚のアルバムジャケットは、三人三様見比べるのも賛否両論あるとは思いますが面白いものです。

 

私も人生の第四コーナーを回って、直線コースのなか、この3人のおじさんの、三人三様の生きざまを感じる楽曲たちに、元気をもらったり、穏やかで優しい気持ちにさせてもらったり、新たな勇気をもらったり、大きく触発させていただきました。

どんな生き方をするのかも重要ですが、どんな終わり方をするのかも重要であることを、頭の隅にでも置いていただければ…と思っていた矢先、またとんでもないアルバムが届きました。

 

Jeff Beck & Johnny Depp 『18』

ジェフベック78歳、ジョニー・デップ59歳。歳の差19歳の二人が作り上げたアルバムは、バラエティーに富んだ選曲ながら、いろいろな評価をものともしない、二人の圧倒的なまでの、ほとばしるエネルギー。第四コーナーを回っての直線なんて恥ずかしくて言えないくらいの圧倒的な熱に浮(か)されてしまいました。