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今月のメッセージ

今月のメッセージ

Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

寄道小径2022年2月

Levi’s 501

 

持っているGパンがかなりくたびれてしまい、本当に久しぶりに買いに行く事にした。
(今はGパンと言わずデニムなのであろうが、あえてGパンと呼ぶことにこだわりたい)

60代のおやじにはちょっと不釣り合いのショップであったが、
ちょうど他のお客様もおらず入ってみることにした。

ブランド別に展示されているGパンは、昔とは違って元の生地だけでなく、
色落ち、ストーンウォッシュされたモノ、ダメージパンツとかなり豊富になっていて、
あれこれ物色していた。

そんなおじさんを見かねたのであろう20代前半の若い女性店員さんが声をかけてくれた。

 

「何かお探しですか?」

「Gパンが欲しいんですが!」

「“デニム”ですね。
どのようなデニムでしょうか?ご希望のブランドはおありでしょうか?」

言葉は丁寧であるが『おじさんが来る店じゃないわよ!』的な感じである。

(やっぱ、体型的にも昔から着慣れていた501がいいかな)
「すいませんがLevi’sの501はありますか?」

『⁉』・・・明らかに『えっ、501⁉おっさんが穿くやつじゃないでしょ‼』って反応。

「これですが。ご存じでしょうが501は前がジッパーでなくボタンになっておりますが大丈夫でしょうか?!」

(知っとるわい!)
「ハイ」と答えつつもちょっとカチン!

早々に試着をし、早く用事を済ましたいこともあり、

「このGパン、洗いこんでいくとどのくらいシュリンクするんですか?」と質問すると

「〇インチぐらいですかね」との返答。

「そうですか」(ウエストと丈で違わないんかい!)※なぜか大阪弁

 

遂にはこの店員さん、501の説明をうだうだとし始めた。
『あなたが買おうとしている501。知ってて買おうとしているの?』てな感じで。
説明は少々ウザく、イラっとして年甲斐もなく意地悪でつい、
パンツを裏返し、指差して

「カットした生地をまつりあげてなくて、生地の耳をそのまま使っているのがあれば、それが欲しいのですが」

「・・・???」・・・こともあろうに作られてないとの返答。

(バカヤロー!おじさんを馬鹿にしちゃいけねえよ。
こちとら、てめえが生まれるずっと前から501を穿き続けてんだ‼‼‼)※なぜか江戸っ子弁

 

 

 

接客業を営んでいる私ども。

私ども以上に、知識と経験を持っておられるお客様がいらっしゃいます。

昔とは大きく進化したものも多くありますが、そこに脈々と流れる本質的なものは
変わらないものもあり、お客様から学ぶべきことも多々あることを、
ちょっと心していただければ、お客様と共に成長できるお店になるのではないでしょうか。

 

それ以来Gパンを買いそびれてしまっています。

 

やっぱり欲しいな。

 

若かりし頃のように、何の施しもしていない真っ新なところから、
自分の体になじむまで時間をかけてじっくり育ててみるのも良いのかも。