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今月のメッセージ

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Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

2022年11月のメッセージ

『直観力』

 

「趣味は何ですか?」と聞かれた際は
当たり障りのない答え方で「街歩き」とよく答えている。

 

この「街歩き」。
行きかう人であったり
そこにあるお店の状況であったり
ある時はその街特有の匂いであったりで
その街の状況を五感で感じ取ることが楽しいのである。

 

「街歩き」の楽しみの一つは食事である。

なんの情報もなく飛び込みで入って、思った以上に良いお店を引き当てたときである。
玄関先にメニューがあればこの上ないが、大抵はお客様の多い少ないではなく、
入口などでの店が醸し出す“風体”などで直感的に決めるのである。
たまにお店に入った瞬間に〝ハズレ〟と感じたときは、失礼ながら
「すいません間違えました」と
うそをついて即座に退散したりするのもご愛嬌であろう。
着座する前の接客対応で退散するパターンもごく稀にある。

しかしながら、多くの人達は知らない土地で食事に行くにしても、
ネットの発達でいわゆるビッグデータを介して評価の星の数をしっかりと確認して、
お店選びをするのが当たり前の行動パターンになっていて、
大きな失敗を犯すこともなくなった。
また失敗の経験からより賢くなり、ビッグデータに惑わせられないよう
コメントの内容をチェックすることで失敗確率を小さくしているのが昨今の現状であろう。

 

この前、元広島カープの高橋慶彦氏と、今となっては笑い話のような、
昔の理不尽で意味不明な根性論(?)でのトレーニングの話で盛り上がった。
そんな話の中、近頃の若手の成長のカギはデータに基づく成果に向けてのショートカット(近道)だという。
たとえばバッターがより遠くに飛ばすためにどの筋肉を必要とし、
その筋肉はどのようなトレーニングをすればよいのか。
より理論的で科学に基づき、より効率的・効果的に結果を出していくのである。
近頃話題の「タイパ」(タイムパフォーマンス)も似たような現象なのであろう。
より良い効果と時間効率の高さを求め、1.5倍速での学習であったり、
テレビとスマホの映像などをいくつも同時に見ていくのもその表れである。

遊技場でパチンコ・スロットを打ちながら携帯を見ているのは、
ただ単に勝つ為の欲求を満たすだけで見る価値のない遊技機だからかな?!と
思っていたが、それだけでもなさそうである。

失敗の確率を減らし、より良い結果を短時間に得るために膨大にあるネット上の情報を具する。

 

では過去からのデータだけで未来が見えるのか?!

どんなに莫大なデータがあろうと、未来はだれも予測すら出来ないのが現実。
それでも良いも悪いも、溢れんばかりの情報に飲み込まれないためにも、
今の時代は情報を読み解く力以上に『直観力』が重要なのではないでしょうか。

『直観力』というと、単なるあてずっぽうのように思いがちだが、
色々な論説があるので興味がある方は調べて頂きたい。

1つには今までの経験値から導かれる頭の集積回路が瞬時に判断するものがある。
『この店よさそうだな』と判断した理由を自分なりに解析すると、
より経験値が上がり、直観力へ結びつくものです。

 

「どこでそう感じたのか」。

これを提供する側に置き換えると、ファシリティであったり、サービスであったりするモノが、
お客様の“無意識の直観”に影響を与えていることに気が付きます。
例えば、お店周りの雑草の放置であったり、お客様への何気ないお声がけだったりが、
“無意識の直観”にダイレクトに伝わっていることを認識すべきです。
そのためにも日常から色々な事を感じたら「なぜそう感じたのか」「どこでそう感じたのか」を
常に分析する癖をつけることが直観力を上げるポイントではないでしょうか!?

もう1つは第六感的「なんとなく」であるが、どんなにすごい第六感の持ち主であっても、
心身の調子が大きく影響するもの。心身ともに平常の健康管理を心掛けるべきなのでしょう。
それでも好調不調の波があるのが普通であることを認識しておけば、ちょっとは楽なものである。

 

データや人の意見だけに頼らず、失敗を飲み込む力も気がけて付けていくことも
今からの時代、必要なことなのかもしれません。