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今月のメッセージ

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Monthly Message

ひぐちグループ 代表取締役社長

樋口 益次郎

2023年1月のメッセージ

『職人気質が好き?!』

 

2023年1月24日、突然の訃報が飛び込んできた。
門田博光、元プロ野球選手:享年74歳。
通算本塁打数、通算打点数共にNPB歴代3位。
1988年、40歳で本塁打王・打点王の二冠に輝き、その年のMVPにも選ばれ、
世の中では「中年の星」ともてはやされ脚光を浴びた。

プロ野球界を代表するスラッガーであった。

こう言うと彼の現役時代を知らない人は“華々しいスター”と感じるであろうが、三冠王になれず、そして現役引退後も監督・コーチとしてのプロのユニフォームに袖を通すことは無かった。アキレス腱切断という怪我からDHとなりバッティングに対する追求心は二冠王に輝くことで開花するも、そこで自ら達した“門田理論”は表に出ることは無かった。私自身、野球に精通しているわけでなく、打つという技術的な事は分からないが、投手をむかえうつ打席で醸し出す威厳は現代の「侍」を感じ、大好きであった。

 

その二週間前にはロック界の三大ギターリストの一人であるジェフ・ベックが細菌性髄膜炎により78歳で亡くなった。数年前に三大ギターリストのもう一人、エリック・クラプトンの空港での車椅子姿が報道され健康が危ぶまれていたが(今は2023年4月に武道館100回目の公演を控え、健在)、ジェフ・ベックの訃報はファンの間ではまさかまさかであった。昨年7月に発売されたジョニー・デップと創ったアルバム「18」が遺作となってしまったが、このアルバムはジョニー・デップのオリジナルが入ってはいるものの、ほぼカバーアルバムと言ってもよく、それも一聴すると節操のないほどバラエティに富んだ曲が並び、散漫なアルバムに聴こえるが、そこにはジャンルにこだわらず何事にも妥協しない“武骨な生涯ギター小僧”を貫き通した姿が見えるものであった。

 

昨年12月末に37年間営業したフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」が閉店した。“世界のミクニ”と言わしめた三國清三シェフのお店である。恵比寿にあるロブション(Joel Robuchon)のお店も、同じく世界最高峰と言わしめた「オテル・ドゥ・ミクニ」も機会を逃し行くことが出来なかったこともあり、そして前々から彼自身が食育(味覚)に対して児童教育を積極的に行っていたこともあり、このタイミングで発売された自伝本「三流シェフ」をちょうど読んでいた。年齢も一つ上でほぼ同年代ということで、時代背景もオーバーラップする部分もあり、感情移入して一気に読んでしまった。“成功者だから”ということではなく、そこには運不運は別として、只々懸命にもがき苦しむエネルギーに涙腺を刺激された。計算不能な境遇の中、何を追い求め、“世界のミクニ”と言われるまでたどり着くことが出来たのか。

 

つい先ほど「豊田章男社長が会長に就任」の臨時ニュースが入ってきた。彼は交代理由のコメントの中で「私はちょっと古い人間」と述べていた。

大きな時代の変化の中、私達の仕事の向き合い方は今の時代にはそぐわなくなっているのかもしれないが、根底に流れる忘れかけた何かがあり、我々の時代で終わらせ変えるべきなのか。
改めて

社会における会社のあり方。
人生における仕事のあり方。
そうしてその仕事においてプライドを持っているのか。

もう一度、振り返る必要がある、良いタイミングなのでしょう。

 

(興味深いYouTubeをご紹介。

三國清三氏の#875【シェフの休日シリーズ~親子の深イイ話】)

しかし、よくよく見てみると門田博光氏にしろジェフベック、三國清三氏にしろ、我ながら、あくなき探求心と泥臭い努力をし続ける『職人気質』が好きなのかもしれない。